先日ブラジルに20年近く暮らす日本人にブラジルの裁判件数が非常に多いという話をしたところ、
「俺も3回くらい裁判したことがありますよ。弁護士に依頼してしたこともあります。去年したのはパソコンのアダプターが壊れて、電気屋に行ったら店に同じタイプがなくて店のやつがタコ足になったタイプのアダプターを勧めてきたんですね。これでも大丈夫だからって。それで、使えなかったら返すぞって話して100レアル(3000円程度)で買って帰ったんですけど、使えなかったんですよ。で、返品しにいったら、返品させないって言いやがったんです。頭に来て訴えるぞ!って言ってやったらやってみろって言うんで、ペッケーナスカウザスっていう裁判所に行って手続したら、相手はちゃんと期日に来ましたよ。何か月かかかりましたけど。ビビっちゃってて、すぐに払うとか言うんで、ほれみろーって言ってやってね」
という話を聞いた。ペッケーナスカウザスというのはブラジルの民事簡易裁判所(Juizado Especial Cível)のことだ。話を聞いた人はサンパウロに暮らす人ではないが、サンパウロの場合はサンタクルス駅の近くに民事簡易裁判所がある。裁判所には研修中の法学部の学生と指導教授がいて、事件内容を告げると申立書を書いてくれる。それをそのまま提出すると数ヶ月後に期日が開かれ、調停手続が行われる。ただし、相手方が出頭しなければ執行力のある判決も出るようだ。こういったシステムは日本の簡易裁判所や調停手続を参考にして作られたようだが、司法の活動が活発なブラジルだけに、日本で行われている以上に市民生活の役に立っているように思える。
Yasuyuki Nagai
Advogado japonês em Nagoya