ルーラ元大統領の刑事第二審判決

2018年1月24日に第4連邦地域裁判所(TRF4)でルーラ元大統領の刑事第二審判決があって、結果は第一審の9年6か月よりも重い12年1か月の有罪判決だった。第4連邦地域裁判所はユーチューブに公式ページを持っていて、判決はユーチューブで中継された。判決手続は朝8時30分に開始して、夕方5時過ぎまで行われた。

手続には3人の裁判官と連邦検察庁(MPF)の検察官、弁護人が出席する。まず最初に報告担当官(relator)を務める裁判官が報告書を読み上げ、それから検察官が30分の意見を述べて、その後各被告人の弁護人が15分ずつ意見を述べる。今回の裁判ではルーラ元大統領以外に6人の被告がいた。検察官及び弁護人の意見の後、報告担当官を務めた裁判官が投票する。投票に際しては単に結論が述べられるだけでなく、その理由も詳細に開示される。その後、修正担当官(revisor)を務める裁判官の投票、最後にもう1人の裁判官の投票が行われ、多数決によって判決が決まる。この間、裁判官らはいつでも審理再開の請求をすることができることになっているようだ。審理再開の請求がなされた場合、判決は延期される。今回の判決では1人めの報告担当官と2人めの修正担当官の意見が一致したが、そのような場合であっても3人めの投票もしっかり行われる。結果は全会一致の判決だった。EXAME誌によると手続の詳細なタイムラインは次のようなものであった(”Como foi o julgamento de Lula no TRF4 e a repercussão“)。

8時32分 裁判長のレアンドロ・パウルゼン判事が審理の開始を告げる。
8時38分 ルーラ元大統領の弁護人であるクリスチアーノ・ザニン弁護士が被告側に検察側と同じ意見陳述の時間が与えられるべきだと主張し、裁判長は検察側20分、被告側10分の意見陳述とするとの裁定を下す。
8時44分 報告担当官のジョン・ペドロ・ゲブラン・ネト判事が報告書を読み上げる。
9時13分 連邦検察官のマウリシオ・ゲルム検事の意見。
9時33分 1人めの弁護人の意見。
9時43分 2人めの弁護人の意見。
10時1分 ルーラ元大統領の弁護人の意見(10時16分まで)。
10時17分 5分間の休廷となる。
10時29分 審理再開。報告担当官のジョン・ペドロ・ゲブラン・ネト判事の投票開始(14時まで)。
14時3分 15時まで休廷となる。
15時1分 審理再開。裁判長で修正担当官のレアンドロ・パウルゼン判事の投票開始(16時10分まで)。
16時41分 ヴィクトール・ラウス判事の投票開始(17時16分まで)。

なおこの手続の様子は今もユーチューブで観られる(Julgamento da Acr 50465129420164047000240118)。

ブラジルの手続は四審制でルーラ元大統領は今後さらに連邦司法高等裁判所(STJ)と連邦最高裁判所(STF)に対して不服申立てできる。しかしながら、2016年10月の最高裁判所の決定によって、現在ブラジルでは第二審手続終了後に刑の執行を開始できる。この判断は見直される可能性があるとも言われているが、ルーラ元大統領の第二審での手続完了までに見直される可能性は低い。第二審裁判所は判決の後48時間被告の不服申立てを待つことになっていて、実際に不服申立てが行われた。今のところ2月中には第二審における不服申立手続の処理が全て完了する見通しで、報道によればルーラ元大統領の刑の執行は3月にも開始する可能性がある。

Yasuyuki Nagai
Advogado japonês em Nagoya