ウクライナ難民は条約難民か

日本政府はウクライナ難民の受け入れと支援をいち早く表明した。しかし、ウクライナ「難民」ではなくウクライナ「避難民」という用語を使用したため、ウクライナの戦火から逃れた人は果たして「難民」なのかという問題が注目を集めた。

難民という用語には広い意味と狭い意味がある。狭い意味の難民は難民条約によって保護される難民で、これを条約難民という。問題はウクライナの戦火から逃れた人がこの条約難民に該当するのか否かという点にある。

難民条約によれば、難民とは人種、宗教、国籍、政治的意見やまたは特定の社会集団に属するなどの理由で、自国にいると迫害を受けるかあるいは迫害を受けるおそれがあるために他国に逃れた人々をいう。条約難民は迫害をうけるおそれがあるために他国に逃れた人でなければならない。そして、そのおそれは「人種、宗教、国籍、政治的意見やまたは特定の社会集団に属するなどの理由」によって生じたものでなければならない。

国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)のハンドブックは戦争難民について「国際的又は国内的武力紛争の結果として出身国を去ることを余儀なくされた者は、通常は、難民条約又は議定書に基づく難民とは考えられない。」(第164項)とする。これだけ見ると、戦争難民は条約難民には該当しなそうである。しかし、次の第165項は「しかしながら」ではじまって、戦争難民が条約難民に該当する場合があることを明らかにしている。また、UNHCRの国際的保護に関するガイドライン12は「同条約第 1 条 A(2)は、その用語に与えられる通常の意味ならびに 1951 年条約の文脈、趣旨および目的に照らし、武力紛争および暴力の発生する状況から逃れてきた者に対して、適用される。実際にも、1951 年条約の難民の定義は、平時の迫害から逃れる難民と「戦時」の迫害から逃れる難民との間に何らの区別も設けていない。1 条 A(2)においては、一つまたはそれ以上の条約上の事由によって迫害を受けるという十分に理由のある恐怖があるかどうかが検討される必要がある。UNHCR 難民認定基準ハンドブックの第 164 項の「国際的または国内的武力紛争の結果として出身国を去ることを余儀なくされた者は、通常は、難民条約または議定書に基づく難民とは考えられない」という箇所は、ある人の迫害を受けるおそれがあるという十分に理由のある恐怖と 1951 年の難民条約上の理由との間に何らの寄与の関係もない状況に限定的に適用されるものとして理解される必要がある。」とする(第10項)。

ガイドライン12には「ハンドブックの第 164 項の「国際的または国内的武力紛争の結果として出身国を去ることを余儀なくされた者は、通常は、難民条約または議定書に基づく難民とは考えられない」という箇所は、ある人の迫害を受けるおそれがあるという十分に理由のある恐怖と 1951 年の難民条約上の理由との間に何らの寄与の関係もない状況に限定的に適用されるものとして理解される必要がある。」と明記されている。ハンドブックに「通常は」と書きながら、ガイドラインでは「限定的に適用される」というのだから無理がある。ハンドブックの記載は今後の改訂の際に改めた方が良い。ともかく、戦争難民は条約難民にあたらないという理解は正しい理解ではない。

戦争難民は条約難民に該当しないという考え方を、UNHCRは他でも明確に否定し、次のように述べている。

One particular problem related to the narrowing of the meaning of persecution is the often automatic denial of refugee status to persons who happen to come from a civil war situation, often on the grounds that even excessively cruel treatment is merely the inevitable by-product of generalized violence. In reality, of course, persons become refugees when they flee or remain outside a country for reasons pertinent to refugee status, whether these reasons arise in a civil war situation, in an international conflict or in peace time.
迫害の意味が狭く解されていることに関して特に問題なのは、たまたま内戦状態から来た人に対し、過度に残酷な扱いも広い範囲で行なわれている暴力の必然的な副産物に過ぎないとされて、しばしば難民としての地位が自動的に否定されてしまうことである。実際には、内戦状態、国際紛争、平時のいずれの状況下で迫害が生じたとしても、難民認定に適した理由で国外に逃亡または残留したのであれば、当然に難民となる。

International Protection (submitted by the High Commissioner) A/AC.96/750

同じくUNHCRが2001年4月に発行した「1951年難民の地位に関する条約 第一条の解釈」というガイドラインには次のような記載がある。

今日的な難民問題は戦争や武力紛争に関連して起こることが多いので、難民条約はそのような今日的問題に対し適切な法的枠組みを与えていないと議論されることがある。同様の文脈で、庇護希望者が迫害をされたと断定するためには彼又は彼女が「個別に把握され」ているか、又は何らかの点で「個人的に標的にされ」ていなければならないとする基準を国内判例において作り上げてきた国々もある。それとはまた別の国々の裁判所では、国内紛争自体は難民の地位認定を除外するものでも十分な根拠を与えるものでもないとしながら、「差異のある危険性」又は「差異のある影響」と言われるような基準が使われる。しかしながら、これらの基準は二つの重要な点を覆い隠してしまう。すなわち i)戦争や武力紛争の状況下であっても、条約上の理由による迫害を受ける十分なおそれから逃げることを余儀なくされることがありうること、 ii)戦争や暴力はそれ自体が迫害の道具として度々使われること、である。戦争や暴力は民族やその他の所属を理由に特定の集団を制圧し排除する手段として頻繁に迫害主体により選択されてきた。
1951年難民の地位に関する条約第一条の解釈第20項)

ガイドライン12によれば「生命、自由その他の重大な人権の侵害の脅威は、1951年条約の難民の定義における迫害に相当する」(ガイドライン12第11項)。そして、

武力紛争および暴力の発生する状況においては、コミュニティ全体が、例えば、空爆、クラスター爆弾の使用、樽爆弾もしくは化学兵器、砲兵もしくは狙撃兵による攻撃、即席爆破装置、地雷、自動車爆弾または自爆攻撃ならびに包囲作戦等による影響を受け、危険な状態にある場合がある。組織的な食料や医薬品の供給の拒絶、水道や電気の供給の停止、財産の破壊、病院や学校の軍事化や閉鎖も、コミュニティ全体に影響する重大な人権侵害または国際人道法の違反に該当しうる。このような行為にさらされることは、個別的または累積的に 1951 年条約 1 条 A(2)にいう迫害に相当しうる。
(国際的保護に関するガイドライン12第18項)

要するに、戦争は迫害を受けるおそれを抱いて然るべき事態である(ガイドライン12第11項ないし第13項及び第19項)。

次に「条約上の事由は、単に寄与要因であることで足りるものであり、迫害を受けるおそれの主要なまたは唯一の原因である必要はない」(ガイドライン12第34項)。そして、

武力紛争および暴力の発生する状況は、人種、民族、宗教、政治、ジェンダーまたは社会的集団による分断に根源があったり、これによって動機付けられまたは動員されたり、こうした分断に沿って行われたりしており、特定の人々がこのような要因を理由に影響を受けうる。無差別的に見える行為(例えば、迫害者が特定の者を標的にしていない行為であっても、実際には、住民が武力紛争および暴力の発生する状況の一方の側の支持者であったりまたは支持者とみなされていたりするコミュニティまたは地域の全体を対象としている場合もある。現代の武力紛争および暴力の発生する状況においては、特定の集団を対象とするまたは特定の集団により大きな影響を与える暴力が見られない事態は希であって、ゆえに条約上の一つまたはそれ以上の(迫害の)理由との間に寄与の関係が認められることになる。武力紛争および暴力の発生する状況においては、誰が特定の側に属しているかまたは特定の側に関与していると思料されもしくはみなされるかは、しばしば、こうした状況における各主体によって広く解されており、これには、戦闘員の家族のほか、同じ宗教もしくは民族的な集団に属しているまたは特定の地域、村、町に居住しているすべての者が含まれ得る。条約上の事由が、家族、コミュニティ、地理的またはその他の関係に基づく一定の集団に帰せられることはよくあることである。
国際的保護に関するガイドライン12第33項目)

要するに、迫害を受けるおそれと「人種、宗教、国籍もしくは特定の社会的集団の構成員であることまたは政治的意見」という5つの理由のひとつがなんらか結びつけば、戦争難民は条約難民にあたる(ガイドライン12第32項ないし第39項)。

したがって、多くの戦争難民は条約難民に該当し得る。このことは2007年のUNHCR難民認定研修テキストに明記されている。

今日起こっている武力紛争から逃れる多くの者は、難民条約上の難民の定義に該当する。というのは、これらの紛争は民族、宗教、政治的相違に起因しており、特定の集団が被害を被るからである。
UNHCR研修テキストシリーズ2『難民認定研修テキスト』28頁)

このテキストが作成される以前に東京弁護士会がUNHCRに対して行なった照会に対する回答にも次のように記されている。

難民条約は第二次世界大戦の結果として、少なくとも大戦で起きた迫害の被害者を保護する手段の一部として、起草されたことが想起されるべきである。今日の紛争の多くがそうであるように、紛争が、避難する人を明確に被害者とするような民族的、宗教的、政治的な違いを根源に持つものであれば、そのような紛争から避難する人々は難民条約上の難民であると見なされる。上記の考えは高等弁務官行動計画執行委員会(UNHCR執行委員会)によって再認識されてきている。
難民条約上の理由と迫害の危険との因果関係に関するUNHCRによる東京弁護士会に対する助言的意見第3項)

また、前述のUNHCRが2001年4月に発行した「1951年難民の地位に関する条約第一条の解釈」というガイドラインの第21項にも、これと同じ趣旨のことが記載されている。

難民条約は第二次世界大戦の結果として、少なくとも大戦で起きた迫害の被害者を保護する手段の一部として、起草されたことが想起されるべきである。今日の紛争の多くがそうであるように、紛争が、避難する人を明確に被害者とするような民族的、宗教的、政治的な違いを根源に持つものであれば、そのような紛争から避難する人々は難民条約上の難民であると見なされる。執行委員会は多くの機会において、最も最近では1998年の会合の中で、そのことを明言してきた。
1951年難民の地位に関する条約第一条の解釈第21項)

UNHCRの上記2件の文書が言及する1998年の執行委員会結論は次のように述べる。

The protection situation
***
(c) Expresses deep concern about the increasing use of war and violence as a means to carry out persecutory policies against groups targeted on account of their race, religion, nationality, membership of a particular social group, or political opinion;
保護の状況
***
(c) 人種、宗教、国籍、特定の社会集団の一員であること、または政治的意見を理由として迫害の対象となった集団に対する迫害手段として、戦争と暴力がますます使用されていることに深い懸念を表明する。

UNHCR執行委員会結論第85号(c)、1998年)

上記の各文書にもあるように、1998年の執行委員会結論は戦争難民の条約難民該当性に関して、新たな立場を打ち出したものではない。そもそも難民条約は第二次世界大戦の戦火から逃れた人々と東欧の思想的反体制者の保護を想定して締結された。戦争難民の多くが条約による保護の対象から外れるような解釈は、難民条約が締結された歴史的な経緯と矛盾する。報道によれば、日本政府も3月30日の衆議院外務委員会で「ウクライナから第三国に避難された方々につきましては、この五つの迫害事由に必ずしも当てはまるものではなく、入管法上の『難民』に該当するとは限らない」と逆方向からではあるが同じ前提に立った答弁をしているようで(2022年3月30日付朝日新聞デジタル「なぜウクライナ「難民」ではなく「避難民」?政府の見解は…」)、多くの戦争難民が条約難民に該当し得ることを事実上認めている(もっとも従前の政府の立場からすれば、戦争難民は5つの理由との結びつきの有無ではなく、個別把握論によって難民該当性を否定される。この点については過去に入管法改正法案の問題点―補完的保護の創設で取り上げた)。

この問題について、ハサウェイはThe law of refugee statusの第2版でカナダにおける支配的な実務を紹介して次のように述べている。

A quite different approach to civil war cases has emerged in Canadian jurisprudence. In the seminal Salibian decision, involving a Lebanese citizen of Christian and Armenian background who faced the same civil-war-based risks as other members of his ethnic group, the Canadian Federal Court of Appeal, like the House of Lords, began by firmly rejecting the view “that for the applicant to be eligible for refugee status he had to be personally a target of reprehensible acts directed against him in particular.” But rather than adopt the view that individual or group-based differential risk had to be shown by those in flight from war, the court found that
カナダの司法においては、内戦事案に対する全く異なるアプローチが生まれている。カナダ連邦控訴裁判所は、貴族院と同様に、キリスト教徒とアルメニア人の血を引くレバノン市民が、他の民族と同じように内戦に起因するリスクに直面していることを取り上げた重要なサリビアン判決において、「申請者が難民の資格を得るためには、個人的に特に自分に向けられた非難されるべき行為の標的にならなければならない」という見解を断固として否定することから始めた。裁判所は、戦争から逃れた難民申請者が個人または所属する集団に戦争自体とは異なる危険があることを示さなければならないという見解ではなく、次の見解を採用した。

a situation of civil war in a given country is not an obstacle to a claim provided the fear felt is not that felt indiscriminately by all citizens as a consequence of the civil war, but that felt by the applicant himself, by a group with which he is associated, or, even, by all citizens on account of a risk of persecution based on one of the reasons stated in the definition.
ある国の内戦状態は、内戦の結果としてすべての国民が無差別に感じる恐怖ではなく、難民申請者自身、難民申請者が所属する集団、あるいは難民条約に規定されている理由のひとつに基づく迫害の危険性を理由にすべての国民が感じる恐怖であれば、難民申請の障害にならない。

To be clear, the Canadian court did not endorse the view that a truly indiscriminate risk satisfies the Convention’s “for reasons of” clause. To the contrary, guidelines issued by the Canadian Immigration and Refugee Board to adumbrate the Salibian standard have taken the view that there must be a determination of “whether the claimant’s risk…is linked to a Convention reason as opposed to the general, indiscriminate consequences of civil war.” As such, refugee status is not to be recognized in Canada where, for example, “the evidence of the applicants themselves speaks of general and indiscriminate shelling of cities and villages. Members of various clans become the victims, whether such clans could otherwise be regarded as friends or foes of the assailants.”
はっきり言って、カナダの裁判所は、真に無差別な危険が条約の「理由」条項を満たすという見解を支持したわけではない。それどころか、カナダ移民・難民局が発行したガイドラインでは、サリビアンの基準を示すために、「難民申請者の危険が、内戦の一般的で無差別な帰結ではなく、条約上の理由に結びついたものであるかどうか」を判断しなければならないという見解が示されている。そのため、例えば、「難民申請者自身の証拠が、都市や村への一般的で無差別な砲撃を物語っている場合には、カナダでは難民の地位は認められない。その氏族が攻撃者の敵か味方かにかかわらず、さまざまな氏族の構成員が被害者になる」。

But in contrast to the British position, dominant practice in Canada – referred to as a “non-comparative” approach – is to reject the view that it must be shown that “the claimant’s, or her group’s, predicament is worse or different than the predicaments of others in her country of origin.” So long as there is a causal connection between the risk faced and a protected ground – even if, in the words of Salibian, that risk is experienced “by all citizens” – the risk of being persecuted is “for reasons of” a Convention ground. Thus in a situation of widespread ethnic, religious, or other conflict in which all or most citizens are at risk because of one of the five Convention grounds, the Canadian approach requires the recognition of refugee status so long as the risk is sufficiently serious and can fairly be said to follow from a failure of state protection.
しかし、英国の立場とは対照的に、カナダの「無比較」アプローチと呼ばれる支配的な実務においては「難民申請者またはそのグループの苦境が、出身国の他の人々の苦境よりも悪い、または異なる」ことを示さなければならないという見解を否定する。直面している危険と条約上保護された理由との間に因果関係がある限り、サリビアンの言葉を借りれば、たとえその危険を「すべての国民が」経験しているとしても、迫害を受ける危険は条約の理由に「基づいて」いることになる。このように、民族的、宗教的、その他の紛争が広がっている状況では、5つの条約上の理由の 1 つのために、すべての国民またはほとんどの国民が危険にさらされており、カナダのアプローチでは、危険が十分に深刻で、公平に見て国家の保護の失敗に起因するといえる限り、難民としての地位を認める必要がある。

This non-comparative approach is to be preferred. First, it is faithful to the general view adopted by leading courts that group-based risk can establish well-founded fear, with no expectation of particularized evidence of risk. Second, it avoids the imposition of a sui generis approach to the claims of persons who, in the UNHCR’s words, “happen to come from a civil war situation.” That is, since the plain language of the refugee definition does not suggest, much less compel, any specific treatment of war refugees, the definition should be applied without regard to the context in which a substantively relevant risk arose. And third, the lack of a need to identify a differentiated risk will facilitate the process of decision-making, thus meeting the concern identified by the House of Lords that “refugee status ought not to depend ‘on casting around for the current underdog.’”
この無比較アプローチは好ましいものである。第一に、集団ベースの危険については、当該危険についての個別的な証拠が提出される見込みがなくとも、十分に理由のある恐怖を構成するという主要な裁判所が採用する一般的な見解に忠実である。第二に、UNHCR の言葉を借りれば、「たまたま内戦状態にある場所から来た」人の主張に対し、特別な手法を押し付けることを避けることができる。つまり、難民を定義した平易な文言は、戦争難民に対する特別な扱いを示唆していないし、ましてや強制するものでもないので、条約上の理由に十分に関連する危険が生じた状況を考慮することなく難民の定義を適用すべきである。第三に、差別化された危険を特定する必要がないことで、判断のプロセスが容易になり、貴族院が指摘した「難民としての地位は『現在の負け犬を探しまわる』ことに依存すべきではない」という懸念に応えることができる。

James C. Hathaway(2014), The Law of Refugee Status 2nd, Cambridge University Press, P179-181)

難民条約の解釈は各国の裁判所がそれぞれ行う。しかし、難民の負担を分かち合うために締結されたものであるから、その解釈は各国の足並みが揃っていなければならない。それにもかかわらず、解釈の相違を解決し、特定の解釈を義務付ける機関は存在せず、UNHCRは条約の規定の適用を監督するにすぎない。しかも、戦争難民の条約難民該当性に関しては、UNHCRが1979年に作成し、その後改訂されながら広く難民条約の解釈の指針として使われている難民認定基準ハンドブックに誤解を招く記載が残る。そのため、どうしても話がややこしくなる。

なお、難民でない人という意味で避難民という用語を使うことはあるが、一般的には国内避難民、すなわち、国外に出ていないために難民でない人という趣旨で用いられる。そして、戦火から逃れた人のように、その多くが条約難民に該当し得る人々は、全体として(広義の)難民と呼ばれている(国連UNHCR協会「難民・国内避難民|故郷を追われた人とは」)。避難民は国外に出れば難民となる。日本が受け入れの対象とするウクライナの人々は、ウクライナ「避難民」ではなく、ウクライナ「難民」というべきだろう。

Yasuyuki Nagai
Advogado japonês em Nagoya

アフガン難民に対するブラジル政府の対応

アフガニスタン情勢を踏まえて、今月の初め、ブラジル政府はアフガン難民に対する対応のための省令(PORTARIA Nº 24, DE 3 DE SETEMBRO DE 2021)を公布した。アフガニスタンの方はブラジルの領事館で180日間有効な一時査証の発給を受け、ブラジルに入国できる(2条。なお必要書類は3条)。入国後90日以内に連邦警察の窓口で登録して2年間有効な一時在留許可を受ける(4条)。就労も可能である(10条)。そして、2年後に生計の手段を証明すれば、期限のない在留許可に切り替えられる(8条)。

この省令を教えてくれたのはサンパウロの邦字情報誌である月刊ピンドラーマで「せきらら☆難民リポート」を連載している大浦智子さんであるが、彼女によればブラジル政府が行なった人道配慮のための移住緩和措置はハイチ、シリアに続く3例目だそうだ。調べてみたところ、ハイチに関する省令は2018年に出され、2度の改訂を経て最新の省令は2020年12月16日付である(PORTARIA INTERMINISTERIAL Nº 13, DE 16 DE DEZEMBRO DE 2020)。シリアについては2019年に省令が出ている(PORTARIA INTERMINISTERIAL Nº 9, DE 8 DE OUTUBRO DE 2019)。

もっとも、8月20日付ニッケイ新聞報道が指摘するところによれば、アフガニスタンにはブラジル総領事館がないため、査証を得るためにパキスタンのイスラマバードに行かなければならない。また、ブラジルまでは空路での渡航になるため、コロナワクチンの接種証明か陰性証明も必要になる(2021年8月20日付ニッケイ新聞「《ブラジル》アフガン難民受け入れに前向き姿勢=ビザ取得などの難題残るも」)。現状は陸路での移動も大変危険な上、パキスタンは原則としてアフガニスタン難民の入国を認めていない。

以下のとおり省令の仮訳を作成した。

Dispõe sobre a concessão do visto temporário e da autorização de residência para fins de acolhida humanitária para nacionais afegãos, apátridas e pessoas afetadas pela situação de grave ou iminente instabilidade institucional, de grave violação de direitos humanos ou de direito internacional humanitário no Afeganistão.
アフガニスタンにおける深刻な又は差し迫った体制不安、深刻な人権侵害又は国際人道法違反といった状況による影響を受けるアフガニスタン国民、無国籍者及びその他の者に対し、人道配慮のための一時査証及び在留許可を付与することを規定する。

OS MINISTROS DE ESTADO DA JUSTIÇA E SEGURANÇA PÚBLICA E DAS RELAÇÕES EXTERIORES, no uso das atribuições que lhes confere o inciso II do parágrafo único do art. 87 da Constituição, tendo em vista os arts. 37 e 45 da Lei nº 13.844, de 18 de junho de 2019, o disposto no § 3º do art. 14, e na alínea “c” do inciso I do art. 30 da Lei nº 13.445, de 24 de maio de 2017, e no § 1º do art. 36 e § 1º do art. 145 do Decreto nº 9.199, de 20 de novembro de 2017, e o que consta no Processo Administrativo nº 08018.031401/2021-67, resolvem:
司法・公安大臣及び外務大臣は、憲法第87条補項2号の権限を行使し、2019年6月18日付法律第13844号第37条及び第45条、2017年5月24日付法律第13445号第14条第3項及び第30条第1号c並びに2017年11月20日付大統領令第9199号第36条第1項及び第145条第1項の規定、および行政訴訟第08018.031401/2021-67号を考慮し、次のとおりとする。

Art. 1º A presente Portaria Interministerial dispõe sobre a concessão de visto temporário e de autorização de residência para fins de acolhida humanitária para nacionais afegãos, apátridas e pessoas afetadas pela situação de grave ou iminente instabilidade institucional, de grave violação de direitos humanos ou de direito internacional humanitário no Afeganistão.
第1条 この多省管轄省令は、アフガニスタンにおける深刻な又は差し迫った体制不安、深刻な人権侵害又は国際人道法違反といった状況による影響を受けるアフガニスタン国民、無国籍者及びその他の者に対し、人道配慮のための一時査証及び在留許可を付与することを規定する。
§ 1º Para o fim do disposto no caput, observar-se-á o disposto no § 3º do art. 14, e na alínea “c” do inciso I do art. 30 da Lei nº 13.445, de 24 de maio de 2017, e no § 1º do art. 36, e no § 1º do art. 145 do Decreto nº 9.199, de 20 de novembro de 2017.
1項 本条本文に定める目的のため、2017年5月24日付法律第13445号第14条第3項、第30条第1項c並びに2017年11月20日付大統領令第9199号第36条第1項及び第145条第1項の各規定に従う。
§ 2º A hipótese de acolhida humanitária prevista nesta Portaria não afasta a possibilidade de outras que possam ser reconhecidas pelo Estado brasileiro.
2項 本省令が規定する人道配慮はブラジル国が認めた他の可能性を排除しない。

Art. 2º O visto temporário para acolhida humanitária poderá ser concedido aos nacionais afegãos, aos apátridas e às pessoas afetadas pela situação de grave ou iminente instabilidade institucional, de grave violação de direitos humanos ou de direito internacional humanitário no Afeganistão.
第2条 人道配慮による一時査証は、アフガニスタン国民、無国籍者及びアフガニスタンにおける深刻な又は差し迫った体制不安、深刻な人権侵害又は国際人道法違反といった状況による影響を受けるその他の者に付与できる。
§ 1º O visto temporário previsto nesta Portaria terá prazo de validade de cento e oitenta dias.
1項 本省令の規定する一時査証の有効期間は180日とする。
§ 2º A concessão do visto a que se refere o caput ocorrerá sem prejuízo das demais modalidades de vistos previstas na Lei nº 13.445, de 2017, e no Decreto nº 9.199, de 2017.
2項 本項の査証の付与は、2017年法律第13445号及び2017年大統領令第9199号に規定する査証のその他の様式に反することなく行なう。
§ 3º Na concessão do visto a que se refere o caput, será dada especial atenção a solicitações de mulheres, crianças, idosos, pessoas com deficiência e seus grupos familiares.
3項 本条本文の査証の付与にあたっては、女性、子供、高齢者、障害者及びその家族からの申請に特に配慮する。

Art. 3º Para solicitar o visto temporário previsto nesta Portaria, o requerente deverá apresentar à Autoridade Consular:
第3条 本省令の定める一時査証を申請するため、申請者は領事機関に次の書類を提出しなければならない。
I – documento de viagem válido;
1号 有効な旅券
II – formulário de solicitação de visto preenchido;
2号 査証申請書
III – comprovante de meio de transporte de entrada no território brasileiro; e
3号 ブラジルに入国するための移動手段の証明
IV – atestado de antecedentes criminais expedido pelo Afeganistão ou, na impossibilidade de sua obtenção, declaração, sob as penas da lei, de ausência de antecedentes criminais em qualquer país.
4号 アフガニスタンで発行された犯罪歴証明書又はそれを入手することができない場合はいかなる国でも犯罪歴がないことを法の罰則のもとに宣誓した宣誓書
Parágrafo único. De forma excepcional e devidamente motivada, o visto de que trata o caput poderá ser concedido, mediante consulta à Secretaria de Estado das Relações Exteriores, ainda que diante da ausência de algum ou alguns dos documentos descritos nos incisos I a IV, também do caput.
補項 例外として、正当な理由がある場合には、外務省との協議により、本条本文の第1号ないし第4号の書類の一部が欠けている場合であっても、本条本文の査証を付与できる。

Art. 4º O imigrante detentor do visto a que se refere o art. 2º deverá registrar-se em uma das unidades da Polícia Federal em até noventa dias após seu ingresso em território nacional.
第4条 第2条の査証を有する移民は、入国後90日以内に、連邦警察のいずれかの窓口において登録しなければならない。
Parágrafo único. A residência temporária resultante do registro de que trata o caput terá prazo de dois anos.
補項 本条本文の登録による一時在留は2年間の期限を有する。

Art. 5º O nacional afegão, que já se encontre em território brasileiro, independentemente da condição migratória em que houver ingressado no Brasil, poderá requerer autorização de residência para acolhida humanitária perante uma das unidades da Polícia Federal.
第5条 すでにブラジル領内にいるアフガニスタン国民は、ブラジルに入国した際の在留資格にかかわらず、連邦警察のいずれかの窓口に人道配慮のための在留許可を申請できる。
§ 1º O prazo de residência previsto no caput será de dois anos.
1項 本条本文の定める在留許可の期間は2年間とする。
§ 2º O requerimento previsto no caput poderá ser formalizado pelo interessado, por seu representante legal ou por seu procurador constituído.
2項 本条本文に定めた申請は利害関係者、その法定代理人又は受任弁護士が適法に行なうことができる。
§ 3º Na hipótese de requerente criança, adolescente, ou qualquer indivíduo relativamente incapaz, o requerimento de autorização de residência poderá ser feito por qualquer dos pais, assim como por representante ou assistente legal, conforme o caso, isoladamente, ou em conjunto.
3項 申請者が児童、青少年又は制限能力者である場合には,在留許可の申請は,父母のいずれか,場合により代理人又は法律上の補佐人が,個別に又は共同して行うことができる。
§ 4º Ainda que o requerimento tenha sido apresentado nos termos dos §§ 2º ou 3º deste artigo, o registro será realizado mediante a identificação civil por dados biográficos e biométricos, com a presença do interessado.
4項 本条第2項又は第3項に基づいて申請された場合であっても、登録は、利害関係者の立会いのもとで、生物学的及び生体情報による民事識別によって行なう。

Art. 6º O requerimento de autorização de residência deverá ser formalizado com os seguintes documentos:
第6条 在留許可の申請は、以下の書類によって適法に行なわなければならない。
I – documento de viagem, ainda que a data de validade esteja expirada;
1号 旅券(有効期限が切れたものであっても良い)
II – certidão de nascimento ou de casamento, ou certidão consular, desde que não conste a filiação nos documentos mencionados no inciso I; e
2号 出生証明書、結婚証明書又は領事証明書(ただし、親族関係が第1号の書類に記載されていない場合)
III – declaração, sob as penas da lei, de ausência de antecedentes criminais no Brasil e no exterior, nos últimos cinco anos anteriores à data de requerimento de autorização de residência.
3号 在留許可申請日以前の過去5年間に、ブラジル国内及び国外で犯罪歴がないことを法の罰則のもとで宣言した宣誓書
§ 1º Em caso de indisponibilidade do sistema de coleta de dados biométricos da Polícia Federal, poderá ser exigida a apresentação de uma foto no formato 3×4.
1項 連邦警察の生体情報収集システムが利用できない場合、3×4サイズの写真の提出が求められることがある。
§ 2º As certidões de nascimento e de casamento mencionadas no inciso II do caput poderão ser aceitas, independentemente de legalização e tradução, desde que acompanhadas por declaração do requerente, sob as penas da lei, a respeito da autenticidade do documento.
2項 本条本文第2号の出生証明書及び婚姻証明書は、適法性及び翻訳にかかわらず、文書の真正に関する申請者の法の処罰のもとでの宣誓書が添付されていれば、受理できる。
§ 3º Caso seja verificado que o imigrante esteja impossibilitado de apresentar o documento previsto no inciso II do caput, conforme o § 2º do art. 68 do Decreto nº 9.199, de 2017, tal documentação poderá ser dispensada, hipótese em que os dados de filiação serão autodeclarados pelo requerente, sob as penas da lei.
3項 2017年大統領令第9199号第68条第2項に基づき、移民が第2項に規定された書類を提示できないことが確認された場合、当該書類の提出を免除でき、その場合、法の罰則の下、申請者が親権を自己申告する。
§ 4º Quando se tratar de imigrante menor de dezoito anos, que esteja desacompanhado ou separado de seu responsável legal, o requerimento deverá observar os termos do art. 12 da Resolução Conjunta nº 1, de 9 de agosto de 2017, do Conselho Nacional dos Direitos da Criança e do Adolescente – Conanda, do Comitê Nacional para os Refugiados – Conare, do Conselho Nacional de Imigração – CNIg, e da Defensoria Pública da União – DPU.
4項 同伴者がなく、又は法定後見人と離れている18歳未満の移民の場合、申請は、子どもと青年の権利のための国家審議会、難民のための国家委員会、国家移民審議会及び連邦公共弁護庁の2017年8月9日付共同決議第1号第12条を遵守しなければならない。

Art. 7º Apresentados e avaliados os documentos mencionados no art. 6º, será realizado o registro e processada a emissão da Carteira de Registro Nacional Migratório – CRNM.
第7条 第6条に記載された書類が提出され、審査されると、登録され、国家移民登録証(CRNM)の発行手続が行われる。
§ 1º Na hipótese de necessidade de retificação ou de complementação dos documentos apresentados, a Polícia Federal notificará o imigrante para fazê-lo no prazo de trinta dias.
1項 提示された書類に訂正又は追完が必要な場合、連邦警察は30日以内にそれを行うよう移民に通知する。
§ 2º Decorrido o prazo sem que o imigrante se manifeste, ou caso a documentação esteja incompleta, o processo de avaliação de seu requerimento será extinto, sem prejuízo da utilização, em novo processo, dos documentos que foram inicialmente apresentados, e que ainda permaneçam válidos.
2項 移民が対応しないまま期限が過ぎた場合、または書類に不備があった場合、申請の審査は終了するものの、最初に提出された有効な書類を新たな手続で使用することは妨げられない。
§ 3º Indeferido o requerimento, aplica-se o disposto no art. 134 do Decreto nº 9.199, de 2017.
3項 申請が却下された場合、2017年付大統領令第9199号第134条の規定を適用する。

Art. 8º O imigrante poderá requerer, em uma das unidades da Polícia Federal, no período de noventa dias anteriores à expiração do prazo de dois anos previstos nos arts. 4º e 5º desta Portaria Interministerial, autorização de residência com prazo de validade indeterminado, desde que:
第8条 移民は、以下の条件を満たす場合には、本多省間省令第4条及び第5条定める2年間の期間の満了前90日の間に、連邦警察のいずれかの窓口において、無期限の在留許可を申請できる。
I – não tenha se ausentado do Brasil por período superior a noventa dias a cada ano migratório;
1号 移住後各年90日を超えてブラジルを離れていないこと
II – tenha entrado e saído do território nacional exclusivamente pelo controle migratório brasileiro;
2号 ブラジルの入国管理のもとでのみ出入国していること
III – não apresente registros criminais no Brasil e no exterior; e
3号 ブラジル又は国外で犯罪歴がないこと
IV – comprove meios de subsistência.
4号 生計手段の証明
§ 1º O requisito previsto no inciso III do caput será demonstrado por autodeclaração e certidões de antecedentes criminais ou documento equivalente, emitido pela autoridade judicial competente da localidade onde tenha residido durante a residência temporária.
1項 本条本文3号の要件は,自己申告書及び一時在留中の居住地域の管轄司法当局が発行した犯罪歴証明書又はこれに相当する文書によって証明される。
§ 2º Para atendimento do requisito previsto no inciso IV do caput, serão aceitos quaisquer dos seguintes documentos, sem prejuízo de outros que possam cumprir idêntica função probatória:
2項 本条本文第4号の要件を満たすため、次の文書のいずれかを受理する。ただし、同様の証明をし得る他の文書を排除しない。
I – contrato de trabalho em vigor ou Carteira de Trabalho e Previdência Social – CTPS com anotação do vínculo vigente;
1号 有効な雇用契約書又は有効な雇用・社会保障手帳(CTPS)
II – contrato de prestação de serviços;
2号 請負契約書
III – demonstrativo de vencimentos, em meio impresso;
3号 給与明細書
IV – comprovante de recebimento de aposentadoria;
4号 年金受給証明書
V – contrato social de empresa ou de sociedade simples em funcionamento, no qual o imigrante figure como sócio ou responsável individual;
5号 移民が社員又は代表者となっている運営中の会社又は団体の定款。
VI – documento válido de registro ativo em Conselho Profissional no Brasil;
6号 ブラジルの専門職団体への登録を証明する書類
VII – carteira de registro profissional ou equivalente;
7号 専門職登録証またはそれに相当するもの
VIII – comprovante de registro como microempreendedor individual;
8号 個人零細事業者としての登録を証明するもの。
IV – declaração comprobatória de percepção de rendimentos;
9号 収入を証明する宣誓書
X – declaração de ajuste anual para fins de imposto de renda;
10号 所得税のための年次調整申告書
XI – inscrição como autônomo nos cadastros dos órgãos competentes;
11号 管轄機関に自営業者として登録されていることの証明
XII – comprovante de investimentos financeiros ou de posse de bens ou direitos suficientes à manutenção própria e da família;
12号 自己及び家族の生計維持に十分な投資又は資産若しくは権利の保有を証明するもの
XIII – declaração, sob as penas da lei, de que possui meios de vida lícitos e suficientes que permitam a subsistência do interessado e de sua família no País; ou
13号 利害関係者及びその家族が国内で生活するための合法的かつ十分な生活手段を有している旨の法の処罰のもとでの陳述書
XIV – declaração, sob as penas da lei, de dependência econômica nos casos dos dependentes legais, hipótese em que também deverá ser juntado comprovante de subsistência do responsável.
14号 法律上の扶養家族にあたる場合には、扶養を受けている旨の法の処罰のもとでの宣誓書(この場合、扶養責任者の生計証明を添付しなければならない)
§ 3º São considerados dependentes econômicos, para fins do disposto no inciso XIV do § 2º:
3項 第2項第14号の規定を適用にあたり、以下の者は扶養家族とみなす。
I – descendentes menores de 18 (dezoito) anos, ou de qualquer idade, quando comprovada a incapacidade de prover o próprio sustento;
1号 18歳未満の卑属、又は年齢を問わず自らに生計能力がないことを証明した卑属
II – ascendentes, quando comprovada a incapacidade de prover o próprio sustento;
2号 自らに生計能力がないことが証明した尊属
III – irmão, menor de 18 (dezoito) anos ou de qualquer idade, quando comprovada a incapacidade de prover o próprio sustento;
3号 18歳未満又は年齢を問わず、生計能力がないことを証明した兄弟姉妹
IV – cônjuge ou companheiro ou companheira, em união estável;
4号 内縁配偶者
V – enteado ou menor de dezoito anos sob guarda; e
5号 継子又は18歳未満の被監護未成年者
VI – que estejam sob tutela.
6号 被後見人
§ 4º Os dependentes a que se referem os incisos I, III e V do § 3º, se comprovadamente estudantes, serão assim considerados até o ano calendário em que completarem vinte e quatro anos.
4項 第3項1号、3号及び5号の扶養家族は、学生であることが証明された場合、24歳に達する年まで扶養家族とみなされる。

Art. 9º A obtenção da autorização de residência prevista nesta Portaria implica a desistência de solicitação de reconhecimento da condição de refugiado.
第9条 本省令の在留許可が取得された場合、難民認定申請は取り下げられる。

Art. 10. Ao imigrante beneficiado por esta Portaria fica garantido o livre exercício de atividade laboral no Brasil, nos termos da legislação vigente.
第10条 本省令が適用される移民は、現行法のもと、ブラジルにおける自由な就労が保証される。

Art. 11. Aplica-se ao imigrante beneficiado por esta Portaria a isenção de taxas, emolumentos e multas para obtenção de visto, registro e autorização de residência, nos termos do § 4º do art. 312 do Decreto nº 9.199, de 2017.
第11条 本省令が適用される移民は、2017年大統領令第9199号第312条4項に基づき、査証、登録、在留許可取得にかかる手数料、報酬及び罰金が免除される。
§ 1º Sem prejuízo do disposto no caput, poderão ser cobrados valores pela prestação de serviços pré-consulares por terceiros contratados pelo governo brasileiro para realizar tal atividade.
1項 本条本文の規定に反することなく、ブラジル政府が契約した第三者は領事申請代行業務の提供のための料金を請求できる。
§ 2º A isenção tratada no caput estende-se aos chamados pelos beneficiados por esta Portaria para fins de reunião familiar.
2項 本条本文の免除は、家族の再会を目的とした本省令が適用される移民による呼び寄せに及ぶ。

Art. 12. Considera-se cessado o fundamento que embasou a acolhida humanitária prevista nesta Portaria na hipótese de o imigrante sair do Brasil com ânimo definitivo, ou o faça fora dos pontos de controle migratório, desde que comprovado por meio de informações que demonstrem ter ele realizado tentativa de residir em outro país.
第12条 本省令による人道配慮の基礎は、移民が自らの判断によって確定的にブラジルを離れた場合、又は入国管理外の出国をした場合、他国に居住しようとしていることが証明された場合には、消滅したものとみなす。

Art. 13. Constatada, a qualquer tempo, a omissão de informação relevante ou declaração falsa no procedimento desta Portaria, será instaurado processo de cancelamento da autorização de residência, conforme previsto no art. 136 do Decreto nº 9.199, de 2017, sem prejuízo de outras medidas legais de responsabilização civil e penal cabíveis.
第13条 本省令の手続きにおいて、関連情報の不記載や虚偽の記載が発覚した場合、2017年大統領令第9199号第136条の規定に基づき、適用される民事責任および刑事責任の他の法的措置を損なうことなく、在留許可の取消手続きが開始される。
Parágrafo único. Durante a instrução do processo, poderão ser realizadas diligências para verificação de:
補項 手続に際し、処分のために以下を確認できる。
I – dados necessários à decisão do processo;
1号 手続の判断に必要なデータ
II – validade de documento perante o respectivo órgão emissor;
2号 各発行機関の文書の有効性
III – divergência nas informações ou documentos apresentados; e
3号 提出された情報又は文書の不整合
IV – indícios de falsidade documental ou ideológica.
4号 文書又は思想に関する虚偽の証拠

Art. 14. Aplica-se o art. 29 da Lei nº 9.784, de 29 de janeiro de 1999, na instrução dos pedidos de que trata esta Portaria.
第14条 1999年1月29日付法律第9784号第29条は、本省令で取り扱われる申請に関する指示に適用する。

Art. 15. Esta Portaria entra em vigor na data de sua publicação.
第15条 本省令は公布のときに発効する。

Yasuyuki Nagai
Advogado japonês em Nagoya

obligaçõesとdeveres

1916年ブラジル民法の2条は

Todo homem é capaz de direitos e obrigações na ordem civil.

と定めていたのを現行ブラジル民法1条は

Toda pessoa é capaz de direitos e deveres na ordem civil.

に改めた。意味はどちらも「すべて人は私法の権利義務を享有する」みたいなことだけど、人がhomemからpessoaになって、義務がobrigações からdeveresになった。homem とpessoa の方はmanとpersonの違いで分かりやすいけど、obrigações とdeveresはどう違うのか。民法の本には、deveresはobrigações とは違って、もっと広くて用語として適切だとか、婚姻配偶者の義務はdeveres ではあるけどobrigações ではないなどと書いてある。

友人によれば、スペイン語のdeberは内面的な倫理や道徳から求められる義務や責務で、obligaciónは他から課される責務を意味し、ポルトガル語でも同じニュアンスだという。その一方で、ポルトガル語にはobligação alimentar(扶養義務)という言葉もあるし、dever de sustentoという言い方もある。対応してスペイン語にもobligaciones alimentariasとか、deber de susutentoという言葉があるようだ。ポ日法律用語集にはdever de alimentosが掲載されている。また、スペイン語では市民の義務について、deberes del ciudadanoはあるけれども、obligaciones del ciudadanoとはあまり言わないとか。

1916年民法では現在の視座からするとdeveresが適切な場所にobligçõesが使われていたわけで、同じように昔から使われている用語には、現在の視座からするとdeveresが適切だと思われる用語にobligaçõesが使われていることもあるだろう。そうだとすると、ニュアンスの本質的な違いから個々の用語を明確に説明することはできないのかもしれない。

Yasuyuki Nagai
Advogado japonês em Nagoya